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ヨーロッパを行く2005番外編プラハ

実は、ブダペストの後に、チェコのプラハにもちょっと行ってきた。実は、フランクフルトで知り合ったミュージシャン達が、口々に「プラハは美しい街だ!!!!」と言うのである(たまたまかも知れないけど・・)

いやあ〜確かに美しかったです!!!! 下の写真は僕が宿泊したホテルの窓から。

そしてここは、まじで観光都市のようで、修学旅行の学生も含む観光客の多さにびっくり!!!!

プラハも、前述のブダペストと同じく、過去にめちゃめちゃリッチだった(富が恐ろしく偏在した)時期に、大規模な街づくりが行われ、その後、全然リッチじゃなくなってしまったために、そのころの、驚くべき街並みが奇跡的に残ってしまった、という歴史を持つ街。僕は、毎日、モルダウ川の流れる市内を歩き回っては、そのあまりにキュートな歴史的町並みに驚嘆したり、

カレル橋の上で、似顔絵アーティストのおじさんに僕の似顔絵を描いてもらったり、

ブラック・ライト・シアターで、ウィットに富んだお芝居を楽しんだりしたのだが、それをここで書いたとしても、ただの観光レポートになってしまうではないか!!!!

そこで!!!!

まあ、何はともあれ、チェコと言えばドヴォルザークである。最近では、現地の発音により近い「ドヴォジャーク」なんていうカタカナ表記も広まりつつあるけど、本来の綴りは、
「Dvorak」ドヴォラックじゃん。
実際はrの上にvに似たマークが付き、aの上にコンマみたいなマークが付く。このコンマみたいなマークが、音を伸ばすしるしだというのはわかるのだが、rにちょっとマークが付いただけで「ジャー」というのは、日本人的には違和感のあるところだろう。果たして、チェコのネイティヴ・スピーカーたちは、この世界的に有名な作曲家の名前を、ほんとはどんな風に発音しているのだろう???

そんなわけで、僕は、この地で出会った、チェコ語のネイティヴ・スピーカーたちに、この作曲家の名前を、まさに僕の前で発音してもらうことにしたのだ。それもひとりやふたりではない。日本語だって、それを話す日本人による個人差があるのだから、より多くのチェコ人の発音を聴いて、この「新世界交響曲」の作曲家の名前の発音の原型に、より近づきたかったのだ。

そして、最後に発音してもらった、僕の滞在するホテルの客室係のマルツェラさんに、とても貴重な情報をいただくことになった。

西脇:dvorakの正しい発音を教えてもらえませんか?
マルツェラさん:もちろんですとも〜(発音する)

そして、発音を試みる僕。他のネイティヴ・スピーカーもそうだったのだが、カタカナで「ドヴォジャーク」のように聴こえる「ジャー」の部分に、日本語にはあり得ないノイズのような音が聴こえるし、「ジャー」の音の前に、一瞬、「ジャー」の音を立ち上げるための助走のような短いノイズが聴こえるような気がする。

僕がこの「ジャー」を再現しようと、つばを飛ばしながらがんばっていると、マルツェラさんは言った。
「この(上にvのマークの付いたrの)発音は、チェコ人以外の全ての国の人々にとって、大変に難しいものです。チェコ人であっても、例えば小さな子供は、この発音ができません。大人のまねをして、何度も何度も繰り返し練習することによって、やっとできるようになるのです。」
そう言うと、マルツェラさんは、vマーク付きのrを単独で発音してくれた。そして、僕は、ついに「ジャー」発声のメカニズムを解明することになった!!!!!!

rは世界各地で、それぞれ似ても似つかない音で発音されている。例えば日本では、ほとんどlと同じように発音されるし、英語では、口の奥に向かって折り曲げた舌を、口の天井に着かないように元の位置に戻すことによって発音する。イタリア語のrはいわゆる巻き舌で、舌の先端を振動させるし、フランス語とかドイツ語のそれは、舌の奥の方を振動させている。

それに対し、チェコ語のvマーク付きrは、舌の位置でいうと、イタリア式とフランス式の中間あたりを、舌を平べったくして振動させるのだ。またチェコ語には、イタリア式の巻き舌rも存在するので、区別するためにvマークを付けているのであろう。そしてこのvマーク付きrは、舌を振動させなければ、ローマ字でいうjとほぼ同じ位置に舌がある、と言っていいかも。どうりで日本人的耳には、「ジャー」みたいに聴こえるわけである。

さらにマルツェラさんは、チェコ語の発音の特殊性を示す良い例として、チェコ語でアイスクリームを意味する単語を発音してくれた。
「zmrzlina」
もう、とてもじゃないけど、カタカナで書けるようなサウンドではない!!!! 綴りは後で調べました。比較的新しい食品であるはずの「アイスクリーム」が、なぜに、このような、唾液の泡にまみれたジュルジュルなノイズとして発音されなければならないのかあっ!!!!!!!????

マルツェラさん曰く、
「この単語は、子音が4つ連続します(lを入れれば5つ!!!!!)こういった単語が、チェコ語にはたくさんあるのです。」

確かに、このことばを「ズムルズリナ」などとカタカナ表記したところで、最初のzmrzのあたりを、全く母音を交えずに発音するのは、至難の業だ。

そして、このときから僕は、プラハの街で、うわごとのように「dvorak.dvorak」と、正しい発音を目指して発音し続ける、謎の東洋系観光客となった。それにしても、つばが飛びまくり!!!!

世界は、まだ僕が知らない舌技を使った子音や、判別不能なほど細分化された母音、そして未知のサウンドに満ち溢れているに違いない!!!! そんなことを感じた旅でもあったわけよ。マルルルルルルツェッラさん、どうもありがとう!!!!(マルツェラさんのルは普通の巻き舌r)


<おわり>